日時:2006年8月12日(土)〜13日(日)1泊2日
会場:神奈川県立かながわ女性センター(江の島)
●第9回メディア・リテラシー研修セミナー報告
FCTは8月12日と13日にかながわ女性センターの共催を得て、夏休み恒例のメディア・リテラシー研修セミナーを開催した。参加者は、海外からはドイツ、国内では首都圏を中心に秋田県、富山県、大阪府、京都府と様々な地域から21人が集まった。参加者の職業は多様で、教員を中心に、大学生、大学院生、NPO関係者、新聞記者などが参加した。
研修プログラムは参加者が体系的かつ理論的にメディア・リテラシーを学べるよう構成され、今回もメディアをめぐる諸問題から3つのテーマを取り上げ、各テーマに沿ってメディア分析ワークショップを実施し、併せて学びを深めていくための授業プランを提示する「展開」セッションを設けた。
ここではワークショップを中心に2日間の活動を紹介する。まず、「メディア・リテラシーとは」の講義に引き続き、「メディアは構成されている」ことを学ぶためにドラマのオープニング分析を行った。私たちはドラマがフィクションであり構成されていることを知りながらも、ドラマの登場人物に共感しその世界に引き込まれることによって、無意識にドラマが提示する価値観やものの考え方を受け入れている。また、『新版Study
Guideメディア・リテラシー入門編』にもあるように、ドラマは「いま」という時代の空気の一部になっているといった側面も併せ持っている。今回は『おいしいプロポーズ』(TBS系放送)をテクストとして分析した。映像言語を分析することによって、このドラマの中で格差社会の到来が単純化されコミカルに表現されていること、さらに商業的側面として、提供主とのかかわりで車種がそれとわかる車のシーンが多用され、協力企業のブランド品が身の回りの小物としてさり気なくドラマの中に散りばめられたりしていることがわかり、ドラマが私たちの消費行動を誘うようにつくられていることが確認された。次のメディアの広告機能を考えるセッションでは、『スキャニング・テレビジョン日本版』より「グラウンドゼロの広告」を取り上げ、クリエイティブな広告代理店といわれるグラウンドゼロ社が売っているものは何かを分析した。
さらに、研修セミナー2日目のワークショップでは、スポーツとメディアをテーマに、サッカーW杯開幕日のニュースからNHK『ニュース7』と日本テレビ系『リアルタイム』をテクストとして取り上げ、ニュース分析をおこなった。スポーツがメディアイベント化されることにより何が生じるのかを放映権料のデータなど豊富な資料を使いながら問題提起した。
今回のセミナーも多様な参加者を得て、FCTならではの豊かな学びの場が形成され、メディア・リテラシーの目的に合致する充実したものとなった。
(ファシリテーター:宮崎寿子、田島知之、森本洋介、矢竹秀行、西村寿子、新開清子)
|