|
マニラ再訪・ANWIC活動のなかで
|
|
2月末の1週間、「ジェンダーとメディア」研究の一環で、大学院生の人たちとフィリピンの首都マニラを訪れた。大学の研究者や学生たちとの研究会、NGOの女性たちと交流、新聞社やテレビ局、ラジオ局への訪問と、毎日多忙なスケジュールだった。加えて、私のもうひとつの目的は、ロンドンのNGOスタッフを退職して帰国し、2月からマニラのNGOで新しい仕事を始めているANWIC
(Asian Network of Women in Communication)の友人と会い、この活動のこれからについて種々語り合う時間をもつことにあった。
このフィリピン女性の友人と私は16年余り前の1987年、マニラにあって、他のアジア諸国の女性たちとともに緩やかなネットワーク活動を構想し、2年後にANWICとして活動を始めたのだった。構想のきっかけとなったのは、同年12月にマニラで開催された「女性とメディア」アジア会議だった。主催者の女性たちは前年のマルコス政権崩壊で果したPeople's Powerの熱気と活力を体現していて、私の目に眩しく映ったのを覚えている。(詳細は『テレビ・誰のためのメディアか』の11章、學芸書林、1992年刊) ANWICはその後、毎年、アジア各地で「女性とメディア」のワークショップを3〜4回開催し、ニュースレターやジャーナルを発行しながら、草の根のネットワーク活動を続けてきた。日本でもFCTとANWICの共催で、韓国と台湾からの参加者を得て国際フォーラム「ジェンダー、メディア、メディア・リテラシー」を開催している(1998年)。参加する国も次第に増え、当初の8カ国から最近はベトナム、カンボジアを加え、アジア17カ国に及んでいる。 このようにANWIC活動の展開はあるものの、久しぶりに訪れたマニラでは、メディア環境の著しい悪化をみせつけられ、改めて、草の根のネットワーク活動の重要性、なかでもメディア・リテラシーによるエンパワーメントの必要性を痛感させられた。政治家たちの広報紙のような新聞、テレビをはじめとするメディアの広告機能の肥大化とそんなメディアで一見活躍しているようにみえる女性たち。女性の“社会進出”とジャーナリズムの衰退は表裏一体をなす現象なのか。 もっとも、このようなメディア環境の現出は、程度の差こそあれ、日本を含むアジア全域に広がりつつある現実でもあるだろう。それを思い知らされたマニラ再訪だった。(鈴木みどり) −『fctGAZETTE』No.82(2004年3月)掲載− |
横浜市中区新港2-2-1横浜ワールドポーターズ6階NPOスクエア内(〒231-0001)
Copyright©2006 Japan Media Literacy Research Institute. All rights
reserved.
|